システムは、開発して終わりではなく、運用し続けるための保守費用が継続的にかかります。しかし、「保守費用の相場がわからない」「見積もりの金額が妥当か判断できない」という声は、よく聞かれます。本記事では、システム保守費用の目安と内訳、契約の種類、見積もりで確認したいポイントを解説します。開発費用については、システム開発の見積もり相場感:何にいくらかかるのかもご覧ください。
保守費用の目安
保守費用は、システムの規模や、求めるサービス水準によって大きく変わるため、一律の金額は示せません。ただし、一般的な目安として、年間の保守費用は、初期の開発費の10〜20%程度といわれることが多くあります。たとえば、開発費が1,000万円のシステムであれば、年間100万〜200万円程度が、ひとつの目安です。これはあくまで参考値であり、24時間対応が必要か、追加の改修を含むか、クラウドの利用料を含むかなどで、金額は上下します。
保守費用の主な内訳
運用(日常の維持管理)
システムを安定して動かすための、日常的な作業です。稼働状況の監視、ログの確認、バックアップの取得と確認、定期的な点検などが含まれます。詳しい内容は、保守作業で業務システムを長持ちさせる!メンテナンスの基本とは?でも解説しています。
保守(不具合・障害への対応)
システムに不具合が発生した際の調査と修正、障害時の復旧対応です。対応する時間帯(平日の日中のみか、夜間・休日も含むか)や、初動の対応時間によって、費用が変わります。
セキュリティ対応・アップデート
OSやミドルウェア、ライブラリの更新、脆弱性への対応です。放置すると、セキュリティ事故のリスクが高まるため、継続的に実施する必要があります。
軽微な改修・問い合わせ対応
文言の変更や、小さな機能の調整、操作に関する問い合わせへの対応です。保守費用に含まれる範囲は、契約によって異なります。
インフラ・ライセンスの費用
サーバーやクラウドの利用料、ソフトウェアのライセンス料、ドメインや証明書の更新費用などです。保守費用とは別に請求されることも多いため、確認が必要です。
契約の種類
- 月額固定型:毎月一定額を支払う。予算を立てやすく、定期作業と、一定範囲の対応が含まれる
- 工数(従量)型:作業が発生した分だけ、時間単価で支払う。使わない月は安いが、突発的な障害で費用が膨らむことがある
- 月額固定+改修枠型:定額に、一定時間分の改修・相談の枠を含める。小さな改善を継続したい場合に便利
システムの重要度が高いほど、障害時に確実に対応してもらえる、月額固定型が選ばれる傾向があります。契約の水準については、保守契約のSLAとは?損しない選び方のポイントも参考にしてください。
見積もりで確認したいポイント
- 保守費用に含まれる作業の範囲(監視、バックアップ、アップデート、不具合対応、問い合わせ)
- 対応の時間帯と、障害発生時の初動の目標時間
- 追加費用が発生する条件(どこからが範囲外の改修か)
- インフラ費用・ライセンス費用は含まれているか
- 契約の最低期間と、解約の条件
- 報告の頻度と内容(月次レポートなど)
保守費用が膨らみやすい要因
古い技術で作られたシステム(レガシーシステム)は、対応できる人が限られ、調査にも時間がかかるため、費用が高くなりがちです。設計書や運用手順書が整っておらず、仕様の把握に時間がかかる場合や、特定の担当者に依存している場合も、同様です。また、利用者の増加や、機能追加を繰り返した結果、システムが複雑になっていくことも、費用増加の要因になります。
保守費用を適正に保つ方法
- 必要なサービス水準を見極める(24時間対応が本当に必要か)
- 監視やバックアップを自動化し、人手の作業を減らす
- ドキュメントを整備し、調査にかかる時間を短縮する
- 使っていない機能やサーバーを整理し、インフラ費用を見直す
- 複数社から見積もりを取り、範囲と金額を比較する
- 外部への委託と、社内対応の分担を見直す(システム運用保守を外部委託するメリットとは?も参考に)
保守費用を見積もるための準備
保守の見積もりを依頼するときは、システムの情報を、できるだけ整理して伝えると、金額の精度が上がります。具体的には、システムの概要と構成、利用者の人数、稼働が必要な時間帯、過去に発生した不具合の頻度、既存のドキュメントの有無などです。これらが分からないと、開発会社は、安全側に見積もる必要があり、金額が高くなる傾向があります。
契約を結んだあとに、確認したいこと
保守契約は、結んで終わりではありません。月次の報告で、実際にどのような作業が行われたのか、障害の対応状況はどうだったかを確認しましょう。作業の内容と費用が見合っているのか、数か月に一度は、見直す機会を設けると、費用が適正に保たれます。システムの利用状況や、業務の変化にあわせて、契約の範囲を調整することも大切です。
よくある質問
Q. 保守契約を結ばず、障害のたびに依頼する方法でも問題ありませんか?
A. 費用を抑えられる可能性はありますが、障害時にすぐ対応してもらえるとは限りません。業務に重要なシステムの場合は、契約を結んでおく方が安心です。
Q. 開発した会社以外に、保守を依頼できますか?
A. 可能ですが、ドキュメントやソースコードの引き継ぎが必要で、最初の調査に費用がかかることがあります。開発時に、引き継ぎやすい形で成果物を納品してもらうことが大切です。
まとめ
システムの保守費用は、年間で開発費の10〜20%程度が、ひとつの目安です。内訳は、運用、保守、セキュリティ対応、軽微な改修、インフラ・ライセンス費用に分けて考えると、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。契約の種類と、含まれる範囲、追加費用の条件を、しっかり確認したうえで、自社に合った保守体制を選びましょう。